番外編
その1 その2

ルビの野生の証明!

2005年1月
遊具の上でなんとか落ち着いたサファ  車で数分の公園にルビ・サファを連れて散歩に行く。
 ポカポカ陽気の青空の下、臆病なサファは例のごとく、腰が抜けたような歩き方で、人の足の下や木の下に隠れようとする。ルビは? と見ると、リラックスして、悠々と、犬のような散歩をしている。かっこいい〜!
 やむなくサファを抱っこして、遊具の上に乗せると、なんだか少し落ち着いたようでじっとしている。

 ・・・と、「首輪が抜けちゃう!」という声。
 見ると、芝生の上を歩いていたルビが、だんだん、竹やぶに近づいていったと思ったら、急に狂ったように暴れだし、その竹やぶに入っていこうとしていた。まるで何かにとりつかれたように。そして・・・。
 首輪から首を抜いたルビは一目散に竹やぶの中に走っていってしまった。

悠々と散歩をするルビ  こんな事態に不思議と動揺しない。落ち着いて、サファを預けて竹やぶの中に入る。思ったほどは暗くない。しかし、ルビは、この中のどこにいるのか。
 要領のいいルビなら、もしかしたらちゃんと生きていけるかもしれない。もし、誰かに拾われても首輪もないし、名前もわからない。餌をもらったらその人にべ〜ったりしちゃうんだろうなぁ。そしたら私のことなんか忘れてしまうんだろうなぁ。
 30%くらいの諦めの気持ちが頭をよぎる。いや、お腹がすいて出てくるまで、ここで夜明かししてでも、連れ戻さなくちゃ。明日の伊勢神宮参拝は中止かなぁ。
 などと、あれやこれや…。

まるで野生の獣のようなルビ 竹やぶは入ってみると、それほど広くはない。球場1個分よりは小さそうだ。しばらく進むと、落ちた笹の葉の中の窪みにあのなつかしい(?)縞々の小さな背中が見えた。近づくと、もう少しのところでバタバタと私の脇をすり抜けてゆく。あれ〜、私だよ〜。わからないの? 情けない…。
 そのあげく「ルビ」と呼んで諭す(?)飼い主の私を全く寄せ付けないといったふうで、太い竹にするすると登ってしまった。…すごい! 獣のようだ!
 3メートルほどの高さで、今まで蚊のなくような声でしか鳴いたことのないルビが、まるで、人が、いや猫が変わったように、かつて聞いたことのないような、鳴き声というより、唸り声をあげる。「う〜」

 しばらくそのまま待つものの、らちがあかない。登るに登れず、かといって降りてもこないルビ。なんとか手が届かないかと折れた竹に上って手を伸ばしたそのとき、ずるずるっと滑ったルビはそのまま下に落ち、またあっという間に奥のほうへ走っていってしまった。
 「ルビ、ルビ」と呼びながらさらに奥に向かう。この竹やぶの端はすとんと切れ落ちた斜面になっていて、その下には川が流れている。勢いよく走ってきたらこの川に落ちてしまうかもしれない。落ちたらこんな寒さの中、きっと泳げないだろうし、死んでしまうかもしれない。
 どうしても見つけなくちゃ。

 すると入口の方で「いた」という声。見つかったらしい。気持ちはあせるがゆっくりと脅かさないように近づく。が、今度は「逃げられた」の声。
 また別の方向に行く。「ルビ、ルビ」と呼びながら少し行っては立ち止まり辺りを見回す。そして音を聞く。これを繰り返しながら進む。これで見つからなかったら一たん外に出たほうがいいかもしれない。この竹やぶの中にいるとなれば、外で待っていたら出てくるかもしれない。でも逆にこの竹やぶから一歩外に出られたら、どこに行ったかまったくわからなくなってしまう。

 立ち止まり、また耳を澄ます。シーンとした竹やぶの中、かすかなカサという音が聞こえた。ルビだ、絶対にいる。おびえさせないように、名前を呼ぶ。私の声を思い出せ、ルビ!

 太い青竹がまるで大きな鳥かごのように天に向かって伸びているその中にルビはうずくまっていた。そしてまたしても少しずつ少しずつ奥にずり、ずりと下がっていく。ここは長期戦だ。
 ゆっくり周りを歩きながら入れる隙間を探したが、そこだけ不思議なほど密集した勢いのある竹で、入ってゆけない檻のようになっている。手も届かない。
 だが、さすがにルビも疲れたのかうづくまったままそこから逃げ出そうともしない。
 「ルビィ、いい子だねぇ、ママだよ〜」「どしたの〜?」・・・ああ、実際は「どちたの〜?」と言いました。。。(^_^;)

 やがて、私がわかったのか、ただ人恋しくなったのか、少しずつ近づいてきたルビは、竹の間から首を出してきた。
 おお〜、私を思い出したか〜? (・_・)ん? 誰でもよかったんじゃないよね。
 倒れた竹がかぶさっているのでまだ頭だけで体は出ていない。その頭と顔をいつものように、くしゃくしゃと撫でる。もう一息だ。体も出てきた。よ〜し、しっかりと、抱き取る。意外とおとなしく抱かれている。なんだぁ、疲れたんだね。
 何があっても絶対離さないぞ! そのまま竹やぶから出ようとしたところ、急に暴れ始めた。首輪とリードを待って、しっかりつけて外に出た、と思った途端、手からすり抜けまた竹やぶの中に戻ろうとした。ほほっ、今度は、逃がさないよ。

 それにしても竹やぶの何がこんなにまでルビを引き付けたんだろう?
 このままルビが戻らなかったら? とあとからゾゾ〜ッ。
 竹やぶには猫を引き付ける魔物がすんでいる…かも。
 猫は決して竹やぶに近づけてはいけない!?

 

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